死刑台のエレベーター
レビュー第一作目は古い映画からです。
ルイ・マル監督の、有名なサスペンス映画。
モノクロフィルム。1958年の作品なんだそうです。フランス映画。
60年近く前の映画なんだって!主要人物はキャラ立ってるし、先は読めないし、フランス映画ってすごいね!
なんか全体に、ドライというかさらっと描いているように感じられたのは、現代の緻密な映画やドラマの造りに慣れてるからなんだろう。
現代版でリメイクしたらすごく面白いのができそう。その際は脚本はあんまり変えないで、心理描写を盛ってほしい。
あらすじ:
なんかでかいめの会社の社長さんの奥さんと、その会社の社員が不倫してて、その奥さんと間男が社長を自殺に見せかけて殺して、ふたりでトンズラしようと計画してる。無事に間男が殺しを完了して、窓から自分のフロアに戻ってきて、退社。が、社屋の外で車を出そうとして、窓にロープを残してきてしまったことに気付く。しくった。で、エレベーターで急いでロープとりに行ったんだけど、乗ってる途中で警備員?にエレベーターの電源を落とされちゃう。さあて閉じ込められた、どうしよう!
一方、社長夫人は旦那を殺した間男と待ち合わせ予定だったのに来ない。そこに間男の車が素通り!しかも女を乗せてる!社長殺しにひるんで女と逃げたんだ、ゆるせない。
実はエレベーターに向かった間男が残していった車に興味津々だった花屋の娘の彼氏が勝手に車を乗り回してただけでした。花屋の娘も乗り込んで、若い二人はそのまま盗難車でハイウェイに向かう。
役者さんがみな美しい。主人公の社長夫人(ジャンヌ・モロー)がひどい美しい。ゴージャスブロンド。そして不穏。このひとのダークな感情が、映画全体に響いてる。
自分と恋人がよければいい、っていう切実さが、自分たちさえよければいい、っていう冷徹に変わっていく。
花屋の娘役の女優さん(ヨリ・ベルダン)もかわいい。ショートカットで。この娘さんとその恋人がかなり重要な役どころなんだけど、最初から若さ満開で危なっかしい。あとで勝手に大変なことになって、その結果、恋人と共に簡単に心中しようとしたりして、これも身勝手。
そのまえにこの花屋さんの彼氏が意味わからないくらい適当で場当たり的ですっとこどっこいなんだけど。
と、ストーリーはそれぞれの「身勝手」が押し進めていくんだけど、それがうまくいくはずもなく。。
最後のシーンの演出はなんかドキッとした。思考回路が固定されてる、視野の狭い人間のその思考の中での絶望感が、どうしようも救われなそうな気がして。
ここにきても、自分の若さが刑務所の中で費やされることを気にしてるんだな。。
なんか、人間の執着は視野狭窄をひきおこして悲劇をまねくって感じがしたけど、どう見てもいいしエンタテイメントとして素直に見よう。そう思った。
ところでこの監督は25歳でこの映画をとったらしいですね。よく撮れたなと思ったら、おかねもちのいえの子らしくて、映画ってお金だいじだよねと思った。
いや25歳で撮ったものが現代でも通じるプロットってすごい。
行動力にばんざい。若いってすごい。