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とみるの映画日記

映画の感想。ネタバレちゅううい。

人生、ここにあり!

イタリアで起こった実話を映画化した作品。コメディに仕上がってるけど、精神の病を持った人が社会に溶け込んで生きるために協同組合をつくる話なんだよ。社会派。

イタリアではロングランになる大ヒットだったそうです。2008年。

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1970年代後半、イタリアでは、バザリア法の制定により精神病院が廃止された。

その後の1983年ミラノ。実際は精神科元患者たちは病院の世話になっていて、行き場がなく、名ばかりの労働(切手張りなど)を施されてる。

そこに、労働組合員だったけどいろいろ革新的というか異端児すぎて組織を追われ左遷してきたネッロさんが左遷されてくる。元患者たちを見て、彼らにも経済に乗る労働をさせよう、と思い立って協同組合をつくる。

そして、床張り・内装の施工を請け負う組織を立ち上げます。

とある現場で、床材が足りなくなって、急きょ廃材を集めて寄木細工風な模様を作って仕上げるんですが、これが好評になってそっちの方向で注文が入るわけです。

 

最初は、ネッロさんが患者たちに「経済にのるしごとをして対価を得る」ことから教えるんだけど、それから自分たちの力を信じ始めて「自分でお金かせいで自分の部屋に住むんだ!」ってなってきた患者たちの盛り上がりったら気持ちよくて。

役者さんたちは実際に病院で過ごしたりして勉強したらしいのですがその演技がリアルというか。最初、切手張りだけして鎮静剤たくさん飲まされてズルズルしていたのが、仕事を得て社会に出て収入を得ると表情が一変。これはみてほしい。別人のように生き生きしてくるのですごく伝わってきた。

 

ネッロさんは精神病については素人なんだけど、薬の量が多すぎるんじゃないかってことを患者を見てて思って、また同じように感じてる別の医者の意見もあって、減薬をさせる。もちろん担当医は「危険がないように」という考えがあって処方していたんだけど、それが体と頭の不自由になっていた部分も大きくて。

ここは実際、精神科の治療では難しいところだと思うんだな。

生活するために、薬をゼロにすることは不可能という意見もある。本人や近しい人に危険が及んだりするのを防ぐことも必要。でも、本人が心地よいすっきりした気分でなるべく過ごせるようにというところも絶対にはずせないからね。。

 

映画の話にもどると、この患者たちが個性的で楽しいんだな。それぞれ社会適応が難しいだけあって「ふつう」にはやれないそれぞれ。でも、熱血なネッロさんがそれぞれの特徴を生かして割り振ったりする。

自閉症でひとこともしゃべらずいつも険しい表情をしている患者を「理事長」に抜擢して立派なスーツを着せて、値段交渉の打ち合わせの席に同席した場面なんて笑える。

一言もしゃべらないから相手方は「威厳がある」なんて勝手に思って交渉成立。

ほかにも、人を管理しないといられないひとは「マネージャー」細かい作業が得意な若者たちは「職人」男性にもてまくるという妄想のある女性は「電話係」など。

 

そんななか、メンバーのひとりが出会った女性に恋をして・・

これがかなり重要なキーになってくる。重いテーマも含んで。

だけど全体に軽くたのしく、その奥に生きてる喜びみたいなもの、ありふれた表現だけど、あるので、それに精神科診療の問題点とか、そもそも人間てどうあるのが幸せなのかとか、簡単に書いちゃうけどそんなものがいろいろ感じられてしかもイタリアのコメディタッチなので見てほしい。

 

もっと大きく取り上げられてもいいのになあ。この作品。

日本の精神保健学会ではこういうアプローチ、どう取り上げられるのかな。

もっといろんな、それぞれに偏ってるひとがいてそれが当たり前になってる社会っていうのが、結局みんなにとって「居やすい」「やりやすい」社会だって思う。

 

イタリアでは、今もその数をどんどん増やして、精神科患者による労働組合は稼働しているそうです。すすんでいるなあ。